ワンツーワークス #43
新シリーズ[時代を見つめる]①
『 仙人草の凱歌 イン・ヨーロッパ 』

[作]クレメンス・J・ゼッツ Clemens J. Setz
[翻訳]松鵜功記
[演出]古城十忍

2025年11月28日(金)~ 12月7日(日)

シアター711(下北沢)

[助成]

文化庁
文化庁文化芸術振興費補助金
(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))
|独立行政法人日本芸術文化振興会
ARTS COUNCIL TOKYO
公益財団法人東京都歴史文化財団
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【東京ライブ・ステージ応援助成】

「仮想空間上の命」をめぐる、ある両親の格闘。

8歳の男の子が交通事故で死んだ。そのことが両親の人生を一変させる。
両親は息子のいない空虚な日常をどうしても受け入れることができず、やがてコンピューター、カメラ、タブレットなどを介し、デジタルツールの力を借りて、「息子が生き続ける世界」をつくり出してしまう。
両親は息子を中心とした家族生活の様子をインターネットで紹介するようになるのだが……。

お触れ書き

オーストリア発・本邦初演。
「仮想空間上の命」をめぐる、ある両親の格闘。
母親と父親、それぞれが
本当に勝ち取りたかったものは何なのか?

さて、皆さん。

今回お届けする翻訳劇は、昨年7月に下北沢・駅前劇場で上演したフェルディナント・フォン・シーラッハ氏の『神[GOTT]』に続いてのドイツ語圏演劇です。

作者は、クレメンス・J・ゼッツ氏。オーストリアの作家・翻訳家です。『神[GOTT]』のときも日本語訳に四苦八苦しましたが、ドイツ語圏の作家って誰もが小難しい思考の持ち主なんでしょうか、今回の『仙人草の凱歌 イン・ヨーロッパ』も、文意のわかりにくい台詞が多く、翻訳をお願いした松鵜功記さんとあーでもない、こーでもないと些細なことでも何度もやりとりを重ねました。(今も現在進行形です)

そして今、ほとほと困っているのが「役名」です。

例えば本作には「M」(エム、と読むんだと思う)と名づけられた女性が出てくるのですが、その女性は劇中で誰かに「M」と呼ばれることも、自ら名乗ることもないので、観客からすれば、パンフレットにあるキャステイングの記載を見てもどの登場人物が「M」なのか全然わからない。そうした人物が何人か出てくるのです。なんで?

私も戯曲を書く人間ですが、観客に伝わりようがないのに、なぜ戯曲にわざわざ「M」と具体的な役名を書くのか、その真意はさっぱりわかりません。

それに加えて、混乱を助長しているのが出演者の数です。この戯曲には15人の登場人物が出てくるのですが、今回の上演ではその15人を8人の俳優で全部やってしまうのです。つまり、一人3役、一人2役の出演者もいるわけで、これがまた観客の混乱を生んでしまうかもしれないと恐れているわけです。(8人で、と決めたのは私だけど)

というわけで、皆さんが混乱することなくこの作品の世界観に没入できるよう、配役の手引きのような情報を以下にお伝えしておきます。但し、今後また新たな発見等があるかもしれず、「あくまで現段階で」ということは固くお断りしておきますのでご承知おきください。

  • 「関谷美香子」が演じる……↓

    レナーテ・ヘルツァー(ダーフィットの母)
    この物語の中心人物。まあ、主役ですからね、戯曲にはしっかりとフルネームが明記されてます。劇中、「レナーテ」と呼ばれることも多々あります。なので皆さんはたぶん混乱しません。この人、YouTube(多分そうだと思う)に自分の動画チャンネルも持っています。そこであれこれ発信しているようですが、恐らくそれが火種となって次から次に注目を浴び、炎上し、小さからぬ社会問題へと発展してしまう。わかりやすく言ってしまえば、「クラスの問題児」ですね。たぶん。
  • 「奥村洋治」が演じる……↓

    コンラート・ヘルツァー(ダーフィットの父)
    主役の夫です。なのでこの人もフルネームが明記されています。ですが初登場シーンが少し遅いし、なかなか「コンラート」と呼ばれないので、「あのオッサン、誰?」と皆さんは少しやきもきするかもしれませんが、夫です。年齢不詳、職業不詳。つかみ所のない人物ですが登場人物の中では最も「人間臭い」ようでもあり、演じる俳優は「この歳にして、新境地見せるから」と今から豪語しています。
  • 「小山萌子」が演じる……↓

    ウルリケ(ジャーナリスト)
    恐らく民間のテレビ局、あるいはテレビ番組制作会社のディレクター。自身で制作する番組のインタビュアーやレポーターも務める「キレ者」のようで、同時に「食えない女」のような人物でもあります。だからなのか「名前」は明記されていますが、「苗字」は不明です。おまけに誰かに「ウルリケ」と呼ばれることもほとんどありません。皆無かも。恐らく演じる俳優の得意分野のキャラクターだと思います。
  • 「松戸デイモン」が演じる2役……↓

    音響技師
    ウルリケの撮影クルーで音響を担当。ウルリケに気に入られているようですが、仕事ができるのかどうかは不明。名前についても一切触れられていません。
    校長
    後半になって登場する人物です。どこか「音響技師」と似通った面があるのでは?と私は感じているのですが、俳優が見事に演じ分けてくれるでしょうから恐らく混乱はしないでしょう。
  • 「阿比留丈智」が演じる3役……↓

    マンフレット(カメラマン)
    ウルリケの撮影クルーでカメラマンを担当。ウルリケがダーフィットとの会話中に1回だけこの人の名前に触れるので、名前が「マンフレット」だと判明します。ただし、劇中で1回として名前で呼ばれることはありません。でもカメラ持ってるからね、判別はつきますよね。
    インタビュアー「I」
    「I」と名前がついているのに淡泊な質問ばかりを繰り出します。なぜ「I」と名づけられているかは謎。出演は劇中の中盤あたりで、1場面のみです。
    教師3
    終盤に出てくる先生で、この人物も出演は1場面のみ。ですがこの人物、非常に大事な鍵を握ってるんじゃないかと私は睨んでいるのですが、まだ明言できません。
  • 「金光柊太郎」が演じる……↓

    ティム・デェル (YouTuber)
    YouTubeに「ティム・フィールズ」という動画チャンネルを持っています。冒頭にいきなり出てくるので、まず混乱はしません。普段は「世界の片隅ルポ」という動画をアップしているようですが、ダーフィット事件に絡んで現在、ネット内で袋だたきに遭ってるようです。
  • 「川畑光瑠」が演じる3役……↓

    女性「M」
    出演場面は常に「ティム」と二人っきりで、ほかの人物とは一切絡みません。なのに、いったい何者なのか、ティムとどういう関係なのか、すべて不明です。
    ゾフィー(声)
    YouTubeに自分の動画チャンネル持っています。ト書きに、そのチャンネル名が「Angel Wings Sophie(ゾフィー)」と書かれているので名前はたぶん「ゾフィー」。出演は1場面のみ。
    教師1
    校長ともう一人の教師と3人で出演します。出演は1場面のみです。
  • 「武田有紀子」が演じる3役……↓

    ザヴィエラ
    Instagramであれこれ、やや過激に更新して物申している人物です。出演は短い2場面のみですが、なんとラップを歌うので印象には残るはずです。
    英語のインタビュアー
    出演は1場面のみ。英語しか喋らないので特定できます。
    教師2
    出演は1場面のみ。教師1と同じ場面です。

2025年9月5日古城十忍

出演

公演日程

★:アフターイベント

  11 / 28 29 30 12 / 1 2 3 4 5 6 7
14:00   2 4   6 8 9   12 13
19:00 1(初日割) 3(土夜割)   5 7   10 11    

アフターイベントのご案内

翻訳家と演出家が大いに語る。出演者トークも2回。

12月1日(月) 出演者トーク①「親より先に死ぬな!」
[出演]奥村洋治 × 小山萌子
× 武田有紀子 × 松戸デイモン

寿命が均一なら、親がまず死んで子があと、が自然な順番でしょう(親のほうが若い場合を除いて)。子が先に死んだ場合、それが事故や事件にしろ自殺にしろ、どうあがいても親にとって受け入れ難い苦痛であることは想像に難くありません。本作の「ヘルツァー家」では子が先。事故死。そして残された親は一見奇妙な行動に出ます……。
このトークでは、子を持つ男女の2人、子を持たない男女の2人、計4人の俳優がそれぞれの思いを語ります。
自分の子が突然死んだら、自分はヘルツァー家のような行動に出る可能性はあるか? 子としての自分が死んだら、親はヘルツァー家のような行動に出ると思うか?
そしてその行動は、「非難されるべき? それとも擁護されるべき?」。そもそも、この社会はその一見奇妙な親の行動を寛容な気持ちで迎え入れると思う?
もし、あなたがネットでそんな親の行動を見たら、あなたは「賛成・応援する」「反対・非難する」のどちらの立場から書き込む? あるいは無視?
さて。―――心して、お答えあれ。

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12月2日(火) スペシャル対談 「ドイツ語圏演劇の特徴」
[出演]松鵜功記(翻訳家)× 古城十忍

ゲストにお迎えするのは本作の翻訳を務めていただいた、ドイツ語圏文学研究者でもある松鵜功記さん。ワンツーワークスがこれまで関わってきた翻訳劇はそのほとんどが英語圏演劇なのでドイツ語圏演劇の「特徴」と言われても今ひとつピンとこないのだが、さてどんな特徴があるのだろう。
そう言えば「ポストドラマ演劇」が盛ん、と聞いたことがあるが、そもそもそれって何なのか。「ドラマ演劇の先にある演劇」とはいったいどういうものなのだろう。確かに『仙人草の凱歌 イン・ヨーロッパ』も戯曲は短い場面の連続で構成されていて、ストーリーを紡ぐことより演劇作品全体で何かを浮かび上がらせようと試みているようだ。
以前誰かが「とんがってる前衛的な演劇が多いよね。で、批判的精神が旺盛」と言っていたように思うが、それは合ってるのか……?
もちろん、ブレヒトの『三文オペラ』や『セチュアンの善人』などは未だに上演され続けているし、かつて古城十忍もデュレンマットの『貴婦人の帰還』を演出しているけれど、そうした有名作家・有名戯曲は今のドイツ語圏ではどう位置づけられているのだろう。さあて松鵜先生、考え出せば知らないことだらけ。ここはひとつ、スカッと解説お願いします。

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12月4日(木) 出演者トーク② 「リアルとは何か」
[出演]関谷美香子 × 金光柊太郎
× 川畑光瑠 × 阿比留丈智

俳優の仕事は役を演じることです。自分ではない人間を表現するために(時には人間でない場合もありますが)、そしてそれがより「リアル」であるように、それぞれの俳優はさまざまな努力をしているはず。一方でデジタルコンテンツがどんどん発展している現代、AIがすさまじく高性能になれば、人間による俳優という仕事は消滅する可能性も!?(恐ろしや!)
何が「リアル」なのかは感じ方次第かもしれませんが、本作はそんな「リアル」をどう捉えるかが重要になっている作品だと思います。今回、この作品に一緒に挑んだ面々はどんなふうに思っているのでしょう? それぞれの役づくり、作品へのアプローチも含め、稽古場でのことも開幕してからのことも、たっぷり掘り下げてお届けします。
俳優として、一個人として「リアルとは何か?」を語らう中から、デジタルコンテンツに決して負けない舞台演劇 ならではの魅力が発見できるかもしれません。「俳優という仕事はまだまだ消滅しません!」と胸を張って言えるトークになる予定です(笑)。どうぞ、ご期待ください!

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チケット

チケット販売

一般前売り開始
2025年10月5日(日)
  • *本公演に「配信」はありません。

料金(全席指定/税込)

前売
5,500円
U22
3,500円(前売・当日とも)
初日割
4,500円(前売のみ)
土曜夜割
5,000円(前売のみ)
当日
6,000円
  • *受付開始および当日券販売開始は開演の45分前、開場は30分前です。
  • *開演時間を過ぎてからのご来場は、指定のお席にご案内できない場合があります。
  • *「U22」は22歳以下。劇団のみの取り扱いです。当日受付にて証明証の提示が必要です。
  • *「初日割」は11月28日(金)19:00の回のみ、前売りのみの料金です。
  • *「土曜夜割」は11月29日(土)19:00の回のみ、前売りのみの料金です。
  • *10歳未満の児童の入場については劇団までお問い合わせください。

取り扱い

チケットぴあ(※WEBのみ)
https://w.pia.jp/t/onetwo-works/
Confetti(カンフェティ)

WEB:
https://www.confetti-web.com/@/onetwo-w43
※購入時にカンフェティ会員登録が必要です(無料)

TEL:050‐3092‐0051(平日10:00 ~ 17:00)

ワンツーワークス

TEL:03-5929-9130(平日12:00 ~ 18:00)

ご予約はこちら

ご予約受付は 10月5日(日)10:00 から

客席について

  • *注意1: 最前列は若干通常より脚の低いイスになります。
  • *注意2: 混み具合により通路に補助通路席を設ける場合があります。
  • *注意3: シアター711は客席数が少ないのでお早めにお申し込みください。

U22(22歳以下)チケットを
お求めの皆さまへ

このチケットは当日・前売り料金ともに同じ金額です。チケット購入のための証明証の確認が必要となりますので、事前決済ではなく、基本的に当日受付での精算とさせていただきます。

お席は予約順に前方のお席からお取りします。ご希望があればお申し込みの際に備考欄にお書きください。

ただし、一般料金でご入場の方とご一緒に事前決済をしてチケットを郵送ご希望の場合はその旨承ります。その場合は当日受付で証明証をご提示ください。

キャンセレイション・ポリシー
受付精算のご予約の方でご来場できなくなった場合はメールまたは電話でご連絡ください。公演当日の開演2時間前まではキャンセル料金はかかりません(14時開演は12時、19時開演は17時)。それを過ぎるとキャンセル料金が発生します。キャンセル料金はチケット料金の全額となります。劇団から請求書をお送りしますので1週間以内にお振り込みください。

チケットに関するお問い合わせ

ワンツーワークス
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-8-3
佐保会東京会館101
TEL:03-5929-9130
FAX:03-5929-9131
mail:onetwoworksinfotemp@yahoo.co.jp

アクセシビリティ

  • *車椅子でご来場をご検討の方は事前にワンツーワークスまでご連絡ください。
  • *目や耳などに障害のある方には、ご要望があれば上演台本を事前に貸し出します。こちらもワンツーワークスまでお問い合わせください。
『仙人草の凱歌 イン・ヨーロッパ』

(チラシ pdf)

劇場

シアター711(下北沢)

〒155-0031
東京都世田谷区北沢1-45-15

tel:03-3469-9711 / fax:03-6416-8382
mail:711@honda-geki.com
ロビー電話(公演期間のみ/主催者直通):03-6416-8914

スタッフ

  • [美術] 礒田ヒロシ
  • [照明] 磯野眞也
  • [音響] 黒澤靖博
  • [衣裳] 友好まり子
  • [舞台監督] 横川奈保子
  • [フライヤーイラスト] 古川タク
  • [制作] 藤川けい子
  • [演出助手] 日置なお
  • [舞監助手] 小山広寿
  • [衣裳助手] 増田 和
  • [小道具] 原田佳世子/田邉かおり
  • [映像] 後藤輝之
  • [宣伝デザイン] 西 英一
  • [舞台写真] 黒木朋子
  • [HP制作] 吉田淳一
  • [制作協力] J-Stage Navi
  • [マネージメント協力] エンパシィ/SORIFA/チャリT企画/TMエンタテインメント/MADカンパニー/MALUNE
  • [ワンツー・エンジェル] 徳永義博/武井高之/小笠原由季恵/伊勢崎健/大塚順一/髙宮香枝/天野真希/森田茂伸/小野 実/菊池悦子/関建二郎/志村衛介/つるさん/torima/マリリン/ぶうた ほか匿名の方々
  • [助成] 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))|独立行政法人 日本芸術文化振興会
  • [助成] 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】
  • [製作](株)オフィス ワン・ツー
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