



ワンツーワークス #42
シリーズ[家族を見つめる]④
『 パラサイト・パラダイス』
[作・演出] 古城十忍
2025年7月23日(水)~ 27日(日)
新宿シアタートップス
2階建ての一軒家に暮らす「高見家」は、サラリーマンの父、専業主婦の母、会社員の娘、大学生の息子の4人家族。一見どこにでもありそうなフツーの家族だが、最近、少し様子がおかしい。父も母も口を開けば喧嘩腰の愚痴ばかり。娘はいつも家を空け、息子はほとんど家から出ない。なのに、隣に住むオジサンが我が物顔でしょっちゅう出入りする。
そんなある日、母の母、父の父、それぞれが立て続けにトンデモナイことを一方的に宣言する。もともと連帯感があるのかないのか、あやふやな家族ではあったが、その宣言の結果、窮屈極まりない不穏なムードだけが家の中に充満していく。かくして家族の大黒柱を自認する父は一念発起、家庭の平穏を取り戻すべく、苦肉の策に打って出る……。
好評シリーズ[家族を見つめる]の第4弾は、全5日間7ステージ限りです。ぜひ、お見逃しなく。
お触れ書き
ひとつ屋根の下に住む。
その本当の意味とは何なのか?
独自のルールで平穏に暮らしていた4人家族に、
崩壊の危機が訪れる……。
私は大学なんぞ一つもない田舎町で生まれたため、大学進学とともに、つまり、18歳になる前に、親元を離れることは自明の理として育ったので、大学でできた友達が実家から通っていると知るや、「こいつ、甘えん坊やな」と一方的に決めつけたり、時に、その甘えが許されることに、「いいなぁ、時期も含めて実家を出る・出ないを自分で決められる選択肢があるなんて」と勝手にねたましく、うらやんだりしてました。
皆さんは「パラサイト・シングル」という言葉をご存じですか?
これは、1997年に社会学者の山田昌宏氏が提唱した造語で、「成人してなお自分の基礎的な生活環境を親の経済力に依存し、親の家に住み続けている独身者」のことを指します。1999年に同氏の著書『パラサイト・シングルの時代』が出版されたことで、この概念は広く知られるようになり、その家族の在り方が、社会現象のようにマスコミはもちろん、さまざまな方面で幅広く取り沙汰されました。いわく、「親元に同居してるからパラサイト・シングルは経済的余裕があり、ブランド品にレジャー旅行、優雅な生活を謳歌してる」と。それも、そうした若者男女を小馬鹿にしたような取りあげ方で。私が戯曲『パラサイト・パラダイス』を書いたのは、そんな時代でした。
おかげさまで本作は評判がよく、再演を重ねることになるのですが、時代が移りゆくほどに価値観は変わり、「パラサイト・シングル」の本来の意味は次第に失われていきました。優雅な生活どころか、むしろ経済的困窮・正社員になりづらい社会を背景とした「パラサイト」のほうが実情としては多い、そんな時代に取って代わっていったのです。
さらに時は進んで、令和7年の今はパラサイト・シングルが社会現象となってから、早いもので、もう25年あまりになります。もちろん時代の風潮もさらに大きく様変わりしました。
「コンプライアンス」(社会におけるルールや倫理に従うこと)、「ダイバーシティー」(性別・年齢・人種・嗜好などの多様性を受け入れること)、「ハラスメント」(相手に不快感を与える言動などにより、人間としての尊厳を侵害すること)、今やそういった社会規範が当たり前として形づくられつつあります。家族の捉え方も個人主義へとさらに大きく傾いていますし、非婚率が上がる一方で少子化に拍車をかける「結婚したがらない若者」は困った存在。それに加えて超高齢化社会に突入した今、老老介護や独居老人の孤独死。そうした社会問題はその一つ一つが無視できない大きな課題として眼前に横たわっています。
そこで今回の舞台ですが、戯曲の時代設定を令和7年にアップデートせず、ほぼ初演通りの2003年版でお届けすることにしました。
つまり、時代設定は今から22年前ということになるわけですが、今現在の社会問題も「あの頃に比べて、何が変わって、何が変わっていないのか」、そうした視点で観ていただいたほうが、より深く、より切実に課題を考えてもらえるのではないか、そう思ったからです。決して手抜きではありません。(笑)
私は本作の登場人物がかなり好きです。全員を気に入っています。そして、どうも私には、この人物たちが自分らしさを打ち出しつつ生き生きと息づいてくれるのは、たぶん令和7年ではない。まだまだ「パラサイト・シングル」の概念が生き残っていた頃じゃないかと。そう思えて仕方ないのです。私は演出家としての自分の勘を信じることにします。見届けてください。
2025年5月10日古城十忍
出演
公演日程
アフターイベントのご案内
出演者トークが2回。こちらもお見逃しなく!
24日(木) | 出演者トーク①「俺、依存症?」 |
[出演]奥村洋治 × 北澤小枝子 × 山下真人 × 金原直史 |
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「あなたがいるから生きていける」「これがなくなったら俺はこの世とおさらばだ」といった「あなたこれ」にあなた、心当たりありますか? ある方、危険危険! ▼ 詳細を開く▲ 閉じる
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25日(金) | 出演者トーク②「家族の今昔」 |
[出演]関谷美香子 × 長田典之 × 大河 蒼 × 山下夕佳 |
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『パラサイト・パラダイス』の初演は2003年。この作品は「一般的な家族が暮らす家」が舞台になっていますが、20年以上が経った今、ネットの普及、物の価値、働き方や性別に対する考え方など著しく変化し、「一般的な家族」の捉え方も随分変わってきていると思います。 ▼ 詳細を開く▲ 閉じる
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チケット
※アーカイブ配信は下記に詳細があります。チケット販売
- 一般前売り開始
- 2025年6月1日(日)
料金(全席指定/税込)
- 前売
- 6,500円
- U22
- 4,000円(前売・当日とも)
- 初日割
- 5,500円(前売のみ)
- 土曜夜割
- 6,000円(前売のみ)
- 当日
- 7,000円
- *受付開始および当日券販売開始は開演の1時間前、開場は30分前です。
- *開演時間を過ぎてからのご来場は、指定のお席にご案内できない場合があります。
- *「U22」は22歳以下。劇団のみの取り扱いです。当日受付にて証明証の提示が必要です。
- *「初日割」は7月23日(水)19:00の回のみ、前売りのみの料金です。
- *「土曜夜割」は7月26日(土)19:00の回のみ、前売りのみの料金です。
- *10歳未満の児童はご入場いただけません。
取り扱い
- チケットぴあ(※WEBのみ)
- https://w.pia.jp/t/onetwo-works/
- Confetti(カンフェティ)
-
WEB:
https://www.confetti-web.com/@/onetwo-w42
※購入時にカンフェティ会員登録が必要です(無料)TEL:050‐3092‐0051(平日10:00 ~ 17:00)
- ワンツーワークス
-
TEL:03-5929-9130(平日12:00 ~ 18:00)
ご予約はこちらご予約受付は 6月1日(日)10:00 から
U22(22歳以下)チケットを
お求めの皆さまへ
このチケットは当日・前売り料金ともに同じ金額です。チケット購入のための証明証の確認が必要となりますので、事前決済ではなく、基本的に当日受付での精算とさせていただきます。
お席は予約順に前方のお席からお取りします。ご希望があればお申し込みの際に備考欄にお書きください。
ただし、一般料金でご入場の方とご一緒に事前決済をしてチケットを郵送ご希望の場合はその旨承ります。その場合は当日受付で証明証をご提示ください。
- キャンセレイション・ポリシー
- 受付精算のご予約の方でご来場できなくなった場合はメールまたは電話でご連絡ください。公演当日の開演2時間前まではキャンセル料金はかかりません(14時開演は12時、19時開演は17時)。それを過ぎるとキャンセル料金が発生します。キャンセル料金はチケット料金の全額となります。劇団から請求書をお送りしますので1週間以内にお振り込みください。
チケットに関するお問い合わせ
- ワンツーワークス
-
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-8-3
佐保会東京会館101
TEL:03-5929-9130
FAX:03-5929-9131
mail:onetwoworksinfotemp@yahoo.co.jp
アクセシビリティ
- *車椅子でご来場を予定の方は事前にワンツーワークスまでご連絡ください。
- *目や耳などに障害のある方には、ご要望があれば上演台本を事前に貸し出します。こちらもワンツーワークスまでお問い合わせください。
アーカイブ配信
- 視聴可能期間
- 7月26日(土)14:00 ~ 8月9日(土)23:59
- 配信チケット料金
- 3,300円(税込み)
- チケット販売期間
- 6月1日(日)10:00 ~ 8月9日(土)20:59
- *本公演にライブ配信はありません。
- *撮影は4Kカメラによる舞台全体の定点撮影になります。
配信チケット取り扱い
- Confetti(カンフェティ)
- https://www.confetti-web.com/@/onetwo-works_streaming
劇場
〒160-0022
東京都新宿区新宿3-20-8
WaMall TOPS HOUSE ビル4階
TEL:03-6457-4083(劇場ロビー・主催者直通/公演期間中のみ)
スタッフ
- [美術] 礒田ヒロシ
- [照明] 磯野眞也
- [音響] 黒澤靖博
- [舞台監督] 中野雄斗
- [フライヤーイラスト] 古川タク
- [制作] 藤川けい子
- [衣裳] 増田 和
- [演出助手] 日置なお
- [舞監助手] 三國 拳/小山広寿
- [小道具] 原田佳世子/田邉かおり
- [記録映像] 後藤輝之
- [宣伝デザイン] 西 英一
- [スチール] 富岡甲之
- [舞台写真] 黒木朋子
- [HP制作] 吉田淳一
- [制作協力] J-Stage Navi
- [マネージメント協力] SORIFA/TMエンタテインメント/HANATOMO演仕屋/ ヒラタオフィス
- [ワンツーエンジェル] 徳永義博/武井高之/小笠原由季恵/伊勢崎健/大塚順一/髙宮香枝/天野真希/森田茂伸/小野 実/菊池悦子/関建二郎/谷山浩一郎/志村衛介/つるさん/torima/マリリン ほか匿名の方々
- [製作](株)オフィス ワン・ツー
大河 蒼
たいが あおい
森さゆり
もり さゆり
ワンツーワークス