#6ギャルゲー「さやか」

「私/さやか」
 私には真摯で在りたいと思う相手が複数居る。素晴らしいことに。
 例えば目の前の誰かが凄く凄く哀しい時、真摯で居たいと思ったらもう、触ることを以ってしか向き合えないと思ってしまったりする。稀に、だけど。その凄く凄く哀しい気持ちは絶対に共有出来ないし、しっくり来ない言葉を吐くのも嫌。だったらもう、触らなくちゃ。と思ってしまう。只「想ってる。」ってことを、確かに伝えたいからそうなるのか。  言葉は頼りにならない、なんて思わない。どうして触りたくなってしまうのかもわからない。でもきっと、私が相手を真摯な姿勢で想うことが理に適っている、という実感が私をそうさせているんだということ。ちゃんと許されているんだ、と。
 私は、本当のことが欲しくて触る。さやかは、一番真摯でありたい相手にも触れないまま。触れないまま。
 あ、でも結局のところは、あたしもさやかと同じなんだ。
島田紗良



  PCが開かれたテーブルを囲み、少女たちが笑顔でポーズを決めている。
少女たちの中心には一人の男。開かれたPCとは別のPCに向かっているが、そのPCには実態がなく、男はその実態のないPCをタイピングしつつ─。

えっと、どの娘でいってみようかなぁ……、正真正銘のお嬢様、底抜けノーテンキ娘、ちょっと小うるさい風紀委員タイプぅ?う〜ン、よし、決めた。





じゃまず、プロフィールを。
少女 都立サキザキ高校1年。16歳です。
ちなみにボディサイズは?
少女 身長162、バスト82、ウエスト59、ヒップ84。気に入った?



さやか

これからあなたを好きになります、よろしくね。
達彦 え?絶対好きになってくれるの?
さやか もちろん。
達彦 ホントに?俺がどんなにひどい人間でも?
さやか たとえそうだとしても、あたしを選んでくれたんだもん、きっと自分で思ってるほどあなたは最悪な人間でもない。少なくともさやかは大感激。ブラボー。あなたも大満足?




達彦 よろしく(握手の手を差し出す)

 

さやか ………。(固まって動かない)
あや (促して)さやか。
達彦 (差し出したまま)明るくおおらかなんだろ?
さやか ………。(こわごわと応じようと……)
達彦 ………。(差しだした手でさやかの手を握ろうとする)
さやか (思わず飛び退いて)触らないで……!
あや (驚いて)さやか。



さやか

押忍、さやかです。
達彦 あ、どうも。達彦です。
さやか これからあんたを好きになるから、よろしく。
達彦 それ間違ってないかなぁ。
さやか 何が?
達彦 「好きになるから」って、それ未来のことでしょ。未来のことがなんでわかるの?
さやか 未来も過去も現在もさやかには同じことなの。


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