#1

 なぜか、部屋の中に部屋がある。
 部屋の中の部屋は「ルーム」と呼ばれ、たくさんの人が四六時中出入りして、いつもにぎやか。ひっきりなしの「お喋り」が絶えない。
 そこで人は「人とうまくやっていくこと」について、それぞれの思いを存分に語り、経験を披露し、ウンチクを傾ける。
 この場所はどこだろう? ルームの主人は誰で、何のための部屋なのだろう?

#2
 
記憶をなくした男がいる。
 自分が何者かはわかる。名前だって言える。なのにすっぽり、過去5年間の記憶だけがなくなっている。
 5年間、自分はいったい何をしていたのだろう? 何かトンデモナイことをしでかしたのか? だから記憶がなくなったのか? 男は途方に暮れ始める。
 
  #3
 
援助交際をいとわない女子高校生がいる。
 
小遣いよりも刺激が欲しいからと割り切っている。
 ある日、電話を取ると相手の声は紛れもなく父。驚いた娘は声を装い会う約束をして、友達に代わりを頼む。父の目的を確認するために。崩れ去る父親像を見届けるために。
#4
 主婦が人生相談のホームページを開設する。
 子育てが一段落してパソコン教室に通っていた母は、ようやく「自分のなすべきこと」を見いだしたかのように、日々、パソコンの前に張り付いている。さまざまな相談に応えることで専業主婦としての自分を振り返るために。その何もない人生を取り戻すために。
 
image photo #5
 4つの断片的な物語がすこしずつコネクトされていく。
 果たして「ルーム」はどこにあるのか? 男は記憶を取り戻せるのか? 女子高生は父に何を見るのか? 母は人生を取り戻せるのか? そして人々はいったい何にコネクトしようとしていたのか?
 「繋がり」が始まる。


Please connect me with somewhere.

Please connect me with someone.

Please connect me at once.





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劇団一跡二跳

制作:岸本 匡史